右腕を後ろへ回すと肩が痛い原因
1週間ほど前から右腕を後ろへ回すと右肩が痛いという30代男性。
それ以外の動きでは、特別痛みが出ないため、しばらくすれば治るものと思っていたが、いまだ治らず気になるので来院した。
1.肩の痛みの重症度は寝方で判断できる
まず、うつ伏せになってもらうと、ほぼ左右対称な寝方ができるため、症状的にはそれほどひどくなさそうである。
痛みが強い場合、誰が見ても左右非対称な寝方しかできないものなのです。
歪みと筋肉のチェックを行うと、右の肩から腰にかけての筋肉に張りがある。
元々、この方は、右腰をよく痛めるようで、右肩も張っている感じを常に感じていたらしいのです。
2.脈と筋肉の緊張を頼りに鍼治療スタート
脈からも、筋肉の緊張が痛みを発しているようなので、その通り筋肉の緊張しているところへ鍼を刺していく。
腰・肩・右腕と鍼を刺し、次に右側を上にして横向きになってもらった。
すると、全然右半身の緊張感が取れていない。
うつ伏せでは、しっかり取れているように診えていたのだが・・・。
3.右肩の痛みの根本原因を発見
そこで、もう一度右半身をくまなくチェックしていくと、最も固くなっているところが、右の股関節であることがわかった。
今度は、この股関節の固さを取るために、鍼を刺していくがいまいち変化がない。
更に、細かく診ていくと、右の足首に気になる固さを見つけた。
恐らく、かなり昔に捻挫した跡だとは思うが、かなりひどかったであろうことが想像できる。
その辺りを聞いてみると、やはり高校時代に捻挫を何度かやっていて、全く治したという記憶がないらしい。
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4.根本原因へ適切な処置をすると劇的な変化
要するに、いつの間にか治っていたということだが、こういう捻挫の治り方が一番たちが悪いもの。
股関節の固さがなかなか取れないのは、この捻挫の後遺症である可能性が高くなってきた。
そこで、一番足首で固まっているところへ、鍼を刺してみると、あっという間に股関節の固さがなくなり、肩の動きまで改善してしまった。
立ち上がってもらって、肩を動かしてもらってもまったく痛みがないらしい。
身体が全てつながっていることを実感できる非常に面白い症例だった。
5.足首捻挫が右肩の痛みの原因となる理由
捻挫の後遺症とは、この症例のように、何年も何十年も前であればあるほど、わかりにくい形で後遺症を表すものです。
足首は、身体の土台です。
捻挫とは、関節を守る靭帯が伸びてしまった負傷の事です。
そして、一旦伸びてしまった靭帯は元に戻ることがありません。
筋力があれば、靭帯の伸びてしまった関節が動きすぎないように固まるものですので、柔軟性を高めておく必要があります。
一方、筋力がなければ、靭帯が伸びている以上、足首がぐらついてしまいます。
今回のケースは前者の筋力があったため、固まってしまっていました。
その結果、左右の足の動きに差が出てしまい、股関節や腰にも固さが出てしまったわけです。
下半身全般右側に固さが出ていれば、上半身にも影響が出てしまうのは明らかです。
この症例のように、腰や股関節を緩めようとしてもゆるむことがなかったのは、そもそも原因が足首に合ったからです。
肩や腕が痛いからと、そちらばかりに目を奪われていると、いつまで経っても痛みを取り除くことはできません。
病院や接骨院では、患者さんが『痛い』と言っている場所に集中的な処置を行います。
これが、保険診療の弱点でもあります。
痛いからと痛い場所ばかりの治療を希望していると、いつまでも治らないという良い症例ではないでしょうか?
今回の例は、1週間前から痛み始めたできたてホヤホヤの症状ですが、病院や接骨院などの保険診療にかかり続けていると、何年も痛み続けることが普通にありますので、注意が必要です。
もちろん、痛みがある場所が悪い場合も多いわけですので、原因探しはしっかりしておいた方が良いのです。
キュアハウス鍼灸治療院 院長。
病院に通うたびに、薬だけが増え、検査をしても『原因不明』と言われる痛みや症状を、ただ取り除くような治療ではなく、生活習慣を見直し、患者さん自身が自力で治すための手段を手に入れ、2度と同じような目に合わないような身体と習慣を身に着けられる治療と情報を提供。
これまで、20年以上に渡り、数々の治療院で経験を積み、施術の実績は80,000人以上。口コミが口コミを呼び、2016年のリピート率は98.7%。