四十肩と五十肩の違いを左腕の痛みで1か月間悩んだ患者さんから見ていく
1ヶ月位前から左腕を動かすと、肩が引っ掛かるような感じになり、前へ伸ばすと痛いという30代男性。
会社の同僚からは、早くも四十肩だの五十肩だのと言われるようになり、心配で来院。
ほとんど肩の状態を見ることもなく、ベッドでうつ伏せになってもらったところで、「四十肩や五十肩の心配はありませんよ。」と一言。
四十肩と五十肩は、うつ伏せになる時の動作と、うつ伏せになった後の、肩の位置でおおよその見当がつく。
1.四十肩と五十肩は動作で分かる
四十肩や五十肩であれば、回旋筋腱板という、腕をねじったり回したりという動きがスムーズに行えなくなります。
従って、ベッドへ乗るという動作の中で、ほんの少しでも肩をかばうような動きであったり、うつ伏せの時に、顔の横に両腕を上げるという上の写真のような動きは、確実にできません。
しかし、この患者さんの動き方や肩の位置からは、心配する要素が一つもなかったので、四十肩でも五十肩でもないと判断できたわけです。
2.四十肩でも五十肩でもない左腕の痛みとは?
それでは、左腕の痛みは一体何が原因で起こっているのでしょうか?
この左腕の痛みの原因を探すためにも、身体を動かしながらチェックできる整体を今回の治療では選択した。
いろいろな体制になってもらいながら、身体全体の動きを診ていくと、問題となるところは、やはり左肩だけ。
通常、1ヶ月も痛みが続くと、痛みをかばう動作を行うため、他の部位に歪みや緊張が現れるのだが、この患者さんの身体には、そのような反応がなかった。
そこで、より、重点的に左肩を探っていくと、筋肉の強いところと弱いところの差が激しいことがわかった。
3.筋肉の強弱の違いに対する整体の仕方
強い筋肉は、ボディービルダーのようにたくましいが、弱い筋肉は、細く骨のように固くなっている。
この違いがわかれば、後は、この固くなった筋肉をほぐしバランスを取っていくだけである。
周りの筋肉の質は、極めて良い状態をキープできているので、押圧(筋肉に対して直角に圧をかける方法)でほぐしていくことにした。
筋肉の繊維に沿って、凸凹を付けないように少しずつ、押圧していくことがポイント。
指を途中で筋肉から離したり、違う筋肉を押したりしないように注意する。
そして、筋繊維の端から端まで満遍なく、同じ柔らかさになるように圧を加える。
4.筋肉のバランスを取り戻すことによって左腕の痛みは?
弱い筋肉の全てを緩め左腕全体の筋肉のバランスを整えた後、患者さんに左腕を動かしてもらうと、「おっ!肩がなくなったように軽い。」とはしゃいでいた。
元々、筋肉の付きやすい体質のようで、少し運動するだけでムキムキになってしまう、運動選手にとっては羨ましい体質。
しかし、この方は、運動を何もしていないただのサラリーマン。
しかも、PC作業を本業とする、デスクワーカーだ。
ということは、毎日身体の前に腕を出す動作はあっても身体の後ろにもっていく動作は少ないことがわかる。
従って、腕を後ろに伸ばすことを日課にしてもらうことで、この左腕の痛みを予防することも改善することもできることがわかる。
しかも、腕を身体の前に伸ばす肩の前側の筋肉は日々強化され、身体の後ろ側に伸ばす腕の筋肉は、ほぼ使われないことで弱くなっていくことが理解できる。
5.四十肩や五十肩の状態とはどのような状態になっているのか?
肩の筋肉、特に回旋筋腱板の衰退が、ひどくなった状態を四十肩もしくは五十肩という。
そして、この四十肩、五十肩の症状は、
・結髪動作ができない。(髪を結う形がとれない。)
・結帯動作ができない。(帯を結ぶ形がとれない。)
・夜間痛がある。(夜痛くて寝れない。)
上記の全てがそろって、四十肩、五十肩。
なので、腕が上がらないだけや、後ろに回せないだけでは四十肩でも五十肩でもないと言えるのです。
6.誰もが知らない四十肩と五十肩の意味
四十肩と五十肩のネーミングで使われている四十と五十は、大体の年齢を示している。
これは、年齢と共に必ず起こるものではなく、このぐらいの年齢になると起こりやすい老化現象ということから、四十代には、四十肩、五十代には、五十肩という名前を付けている。
たまに、五十代の患者さんに「四十肩ですよ。」と言うと喜ばれる(笑)という謎の現象がある。
しかし、症状は全く同じ、筋肉が衰退しているので、老化現象は老化現象。
ただ、「40代なので老化ですよ。」と言われるよりも「四十肩です」と言ってもらった方が受け入れやすい人が多いもの。
7.症例把握のために
この患者さんは、うつ伏せになる動作の時に、腕を何なく上にあげてベッドへ倒れ込んだ。
ということは、結髪動作はできている証明。
そこで、四十肩でも五十肩でもないと、診断できたのである。
ただ、このまま腕を後ろに振るような動作をしなければ、いずれ筋肉の衰退はひどくなり、本格的に四十肩や五十肩になる可能性が十分にあるということは、理解しておく必要がある。
整形外科や接骨院で四十肩や五十肩と診断された時に、そのままうのみにすることなく、このような基本的な理論を知っておくと、今何をやる必要があるのかが明確になります。
診断名で簡単に治ることをあきらめる人は多いものですが、状態把握ができてしまえば、諦める意味さえなくなる。
あなたもそのような力を身に着けられると良いですね。
キュアハウス鍼灸治療院 院長。
病院に通うたびに、薬だけが増え、検査をしても『原因不明』と言われる痛みや症状を、ただ取り除くような治療ではなく、生活習慣を見直し、患者さん自身が自力で治すための手段を手に入れ、2度と同じような目に合わないような身体と習慣を身に着けられる治療と情報を提供。
これまで、20年以上に渡り、数々の治療院で経験を積み、施術の実績は80,000人以上。口コミが口コミを呼び、2016年のリピート率は98.7%。