ヘルニアの手術をしても首から腕の痛みが取れない3つの原因
キュアハウス院長 中村幸生
長い間、首から肩、腕の痛みと、そこから指先までのしびれがある。
整形外科で電気を流したり、マッサージを受けても治らない。
薬を飲んでもまったく変化が見られない。
こんな状態でも、改善する方法はあるのだろうか?
また、原因は何なのか?
ここでは、 首から肩の痛み、そして、腕全体の痛みやしびれの3つの原因について解説していきます。
このような症状で、病院に通っている人は多いと思います。
始めの診察で、
「おそらく頚椎椎間板ヘルニアだろう!!」
と、ある程度判断をつけつつ、レントゲンを撮ってもらう。
すると、意外にも、あまり椎間板が飛び出ていない。
そのため、無理やりにでも、頚椎と頚椎の間が狭くなっているところを探し、
「ここがヘルニアになっていますね!」
と、診断してしまう整形外科医。
そう宣告された患者側としては、何も疑うことなく、
『自分はヘルニアである』
という、マインドコントロールにはまってしまうのです。
椎間板ヘルニアとは、
脊椎間が狭くなっているだけではなく、関節の間にある椎間板というクッション的な軟骨が、関節外に飛び出した状態の疾患名です。
そして、椎間板が飛び出しただけでは、痛みやしびれが出ることはないのも特徴です。
飛び出した椎間板が、知覚神経を圧迫しなければ、痛みやしびれという感覚異常を発することはありません。
しかし、整形外科では、痛みやしびれがある場合、ほとんどが、ヘルニアと診断してしまいます。
本当の椎間板ヘルニアであれば、外科的処置が必要だったり、専門的な技術が必要になりますので、ここでは割愛させていただきます。
ということで、今回は、首から腕の痛みやしびれを引き起こしてしまう『椎間板ヘルニア以外の原因』を見ていくことにしましょう。
1.首から肩、腕の痛みやしびれを引き起こす3つの原因
頸椎椎間板ヘルニアの症状同様の、首から肩にかけての痛みや腕の痛みやしびれを発症させる原因には以下の3つがあります。
1)首や肩の筋力低下
2)姿勢や使い方の問題
3)胃や食生活の問題
それぞれのケースについて説明していきます。
1)首や肩の筋力低下
デスクワークなど、パソコンの画面に向かって、頭が前に突っ込んだ状態で、長く仕事をし続けた結果起こるパターンです。
また、キーボードを打つために、ずっとデスクの上に腕を上げた姿勢で、長く仕事を続けていても起こることがあります。
これは、どちらも仕事だけでなく、勉強や趣味でも同じこと。
頭が前に突っ込んでいる場合には、首の後ろ側の筋肉が引き伸ばされてしまいます。
引き伸ばされ続けた筋肉は、血液を流しにくくなります。
血液が流れなければ、疲労はたまり、新しい新鮮な栄養素を得ることができません。
その結果、
- 筋肉周りに疲労が溜まる
- 筋肉が傷つきやすく痛みが出やすくなる
- 筋肉が萎縮する
- 筋肉が痙攣する
このような現象が起き始めます。
特に筋肉が痙攣すると、鉄柱のような硬さになります。
そんな固い筋肉に神経が接触したりすると、椎間板が飛び出して神経を圧迫した時の現象と、まったく同じ現象を、引き起こしてしまうことがあるのです。
2)姿勢や使い方の問題
腕立て伏せやベンチプレスをやりすぎて、頚椎椎間板ヘルニアの症状を発するということがあります。
腕立て伏せやベンチプレスは、腕や胸の筋トレという認識が強いと思います。
当然、それが正解なのですが、頚椎椎間板ヘルニアとほぼ同じような症状を出す、頸肩腕症候群の一部に、胸郭出口症候群というものがあります。
これは、首から出てきた腕の神経の通り道沿いにある筋肉が、固くなったことで、神経を圧迫してしまい、肩から腕の痛みやしびれを出してしまうのです。
本来であれば、整形外科が最も得意としている疾患なのですが、最近の整形外科医の特徴として、
『徒手検査をやらない』
という先生が増えてきています。
胸郭出口症候群は、画像診断ではなく、徒手検査でなくては、判断できないものです。
けれど、いちいち、徒手検査をしていると時間が足りなくなってしまうので、一番恐れなければならない頚椎の問題を判断するために、画像診断という検査方法を取るわけです。
確かに、頸肩腕症候群で、大きな問題に進展することはほとんどありません。
その反面、頚椎の問題があれば、大問題となる場合があります。
例えば、背骨の骨折や、骨癌など、さらには、ヘルニアの脱出具合によっては、即手術を選択しなければならなくなるわけです。
このように、最悪のケースを考えた上で、画像診断を選択することで、頚椎椎間板ヘルニアよりも軽傷である頸肩腕症候群は、ヘルニアという名前でひとくくりにされてしまい、なかなか治らない症状の仲間入りとなってしまうのです。
そして、本当のヘルニアではないので、手術が必要とはならないわけです。
中には、
『最悪は手術が必要です』
などと、不安を煽るだけで、ほとんど治療らしい治療を行わない医師もいるようです。
腕立て伏せやベンチプレスはやるけれど、胸の筋肉を、十分にほぐすような体操やストレッチをしていない人に多く見られるパターンですので、筋トレ好きな人は要注意です。
3)胃や食生活の問題
精神的なストレスで胃を痛めたり、早食いや刺激物を取りすぎることで、胃を痛めることがあります。
その結果、頚椎椎間板ヘルニアのような症状が現れることがあります。
この様な症状がストレスから発症する メカニズムについて 詳しく説明しています。
まずは、この様なヘルニアの症状を発症してしまう根本原因について説明していきましょう。
実は、ツボの流れ道である経絡が絡んだ結果の症状なのです。
経絡とは、電車の路線のようなもの。
例えば、東海道新幹線は、肺とつながっていて、東北新幹線は、肝臓とつながっているというように、一本のラインに一つの臓器が絡んだものを、経絡と中医学では呼んでいます。
その胃の流れ道である胃経が、ストレスによる頚椎椎間板ヘルニアの症状を出す、根本原因になっていることが多くあるのです。
胃が荒れてくると、首の前側の胃経ラインに、筋肉の緊張が現れます。
胃炎や胃潰瘍のような、胃の病気を何度か繰り返していると、肩の上にある、マッサージで定番的に押してもらいたくなる場所に、コリができてしまいます。
この二つ(首の筋肉に緊張と肩のコリ)のパターンが、胸郭出口症候群を作り上げ、頚椎椎間板ヘルニアのような痛みやしびれを発するようになるわけです。
これは、長く西洋薬やサプリメント、コーヒーなどを取っている人も、同じ現象が起きる可能性がありますので、注意しましょう。
首の緊張にしろ、肩の凝りにしろ、胃が原因で固さが現れたものですので、いくら首や肩をマッサージしても取りきれるものではありません。
しかし、大抵の人が、
「もっと強く押して!!」
と、マッサージ師に要求してしまうのです。
そして、マッサージ師も、
「このコリは本当に強いですね!」
とか、
「この固さは鍼でも刺さないと取れませんよ!」
とか言い出すのです。
その結果、鍼灸院へ行くことになるのですが、鍼灸師が、このような痛みやしびれの原因をつかめないと、何度も肩や首に鍼を刺すようになります。
そして、いつまで経っても、痛みやしびれは取れず、悩みが深まっていくのです。
2.椎間板ヘルニアと診断された後の3つのチェックポイント
最後に熱中してゲームを長時間続けていると、胸の筋肉が固まっていることがあります。
筋肉は固まったままでいると、神経を圧迫したり、血流障害を起こし、神経症状のような、痛みやしびれを出すことがあります。
そして、病院で検査を受けると『椎間板ヘルニア』と診断されてしまうことがあります。
しかし、ここで冷静に考えましょう。
- 本当に椎間板が脱出しているのか?
- 関節間が狭くなっているだけではないのか?
- ヘルニアであるにもかかわらず、牽引を進められなかったか?
本当にヘルニアがある場合、牽引をすると、その場で悪化します。
寝ることも座ることも苦しい痛みとしびれがあり、レントゲンでもMRIでも、素人目に見て、完全に他の関節とは違う状態を判断でき、なおかつ医師から、
「これは、手術しなければならないかもしれませんね!」
と、言われた場合には、真剣に手術を考えましょう。
ただ、そこまでの状態でなければ、意外とヘルニアではないことが多いのです。
この記事を書いている人
キュアハウス鍼灸治療院 院長。
病院に通うたびに、薬だけが増え、検査をしても『原因不明』と言われる痛みや症状を、ただ取り除くような治療ではなく、生活習慣を見直し、患者さん自身が自力で治すための手段を手に入れ、2度と同じような目に合わないような身体と習慣を身に着けられる治療と情報を提供。
これまで、20年以上に渡り、数々の治療院で経験を積み、施術の実績は80,000人以上。口コミが口コミを呼び、2016年のリピート率は98.7%。
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2011.11.24